燃料油供給ラインの仕組みと役割:燃料油循環ポンプから主機関への供給
1.はじめに
この記事ではディーゼル機関を装備する船舶においてC重油を使用した場合の燃料油系統の一例を紹介する。
2.燃料油系統
- 燃料は、燃料タンク(F.O Tank)に積込まれ、蓄えられる。貯蔵された燃料は燃料移送ポンプ(F.O Transfer Pump)を通って、油澄ましタンク(F.O.Setring Tank)に送られる。
- 燃料油は経済性から低質油(C重油など)が使用される場合が多いが、油分中の不純物が多いため除去が必要となる。そこで、燃料タンクに貯蔵された燃料油を一旦、油澄ましタンクに入れることで水分、スラッジ等の分離を図る。しかし、依然として燃料油の清浄度は低いため、油澄ましタンクの燃料油を清浄機で処理する。
- 清浄機は油中の水分、スラッジ等を除去する装置である。回転体内で遠心力を利用して比重差のある燃料油と水分、スラッジ等を分離させる。
- 処理する燃料油は、事前に加熱器(Purifier F.O. heater)にて、加熱される。清浄機により処理された油は、燃料油常用タンク(F.O.Service tank)に送られる。
燃料油澄ましタンク及び常用タンクは、加熱用の蒸気管が内蔵され、常に高温が維持される。
- 燃料常用タンクの油は燃料供給系統から主機関に供給される。燃料はこし器を通過したのち、供給ポンプにより加圧され、高圧ラインに供給される。
- 燃料油循環ポンプで加圧された燃料油は、加熱器にて、所要温度まで加熱され、主機関に送られる。加熱温度調整は、粘度調整器で行われる。
- 加熱器出口には、2次こし器が装備され、燃料中の不純物を除去する。